『風俗畫報』臨時増刊「江島・鵠沼・逗子・金澤名所圖會」より逗子の部 長者ケ崎
●長者ケ崎
葉山の御用邸を過ぎ、南の方程近き所逗子停車場より凡そ一里餘と稱す、正面には富峰(ふほう)雲際(うんさい)に秀(ひい)て、筥根大山等の諸山連り近くは鎌倉靈山ケ崎七里ケ濱を望み海上二里半にして江の島と相對す、巖嘴(がんし)海中に斗出すること二百二十間、形狀宛然(さながら)鵜の頸をのばせるが如し故に又鵜ケ崎の名あり、靑松林を爲して浪間に影を蘸(ひ)たす所、風景謂はん方もなし。
[やぶちゃん注:「二百二十間」四百メートル。現在の長者ヶ崎の根を横切る国道百三十四号のセンターから岬の突先までが丁度、四百メートルに相当する。]
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