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2014/04/19

ヤマグチイズミ   山之口貘

 ヤマグチイズミ

 

きけば答えるその口もとには

迷い子になってもその子がすぐに

戻って来る筈の仕掛がしてあって

おなまえはときけば

ヤマグチイズミ

おかあさんはときけば

ヤマグチシズエ

おとうさんはときけば

ヤマグチジュウサブロウ

おいくつときけば

ヨッツと来るのだ

ところがこの仕掛おしゃまなので

時には土間にむかって

オーイシズエと呼びかけ

時には机の傍に寄って来て

ジュウサブロウヤとぬかすのだ

 

[やぶちゃん注:【2014年7月21日追記:思潮社二〇一三年九月刊「新編 山之口貘全集 第1巻 詩篇」と対比検証済。注を一部追加した。】初出昭和二三(一九四八)年八月号『芸術』。掲載誌の標題は「やまぐちいづみ」と平仮名表記である。前掲「きゃべつ」注参照のこと。バクさんの本名は山口重三郎。発表当時、ミミコ(泉)さんは四歳。この発表時は丁度、練馬に転居した頃である。

   *


 やまぐちいづみ


きけば答えるその口もとには

迷い子になつてもその子がすぐに

戻つて來る筈の仕掛がしてあつて

おなまえはときけば

ヤマグチイズミ

おかあさんはときけば

ヤマグチシズエ

おとうさんはときけば

ヤマグチジユウサブロウ

おいくつときけば

ヨツツと來るのだ

ところがこの仕掛おしやまなので

時には土間にむかつて

オーイシズエと呼びかけ

時には机の傍に寄つて來て

ジユウサブロウヤとぬかすのだ


   *]

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