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珈琲店
のんでものまなくても
ぼくはかならずなのだ
一日に一度はこの珈琲店に来て
いかにもこのように
ひとやすみしているのだ
置き手紙の男はそれを知っているからで
この間の金を至急に
返してほしいと来たわけなのだ
[やぶちゃん注:【2014年7月7日追記:思潮社二〇一三年九月刊「新編 山之口貘全集 第1巻 詩篇」と対比検証済。初出注を追加した。】初出は昭和二八(一九五三)年二月一日発行の『文藝新潮』創刊号。]