萩原朔太郎「ソライロノハナ」より「何處へ行く」(3)
瓶子(へいじ)もて机たゝける我が友を
「鬼」と罵り耳うつ女
酒のめば龜の子のごと頸ふりて
わからぬことを唄ふたのしさ
醉ひしれて何をか言ひし友等みな
去りぬこのとき我れ流涕す
その女何とか言ひてわが肩を
ふたつ叩きしことがうれしき
襟しろき女に見とれ四ツ辻の
電信柱に突きあたりけり
腦病と自ら言ひて學校を
怠ける男歌をよく詠む
學問のきらひの男今日もきて
戀の話をして歸りけり
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瓶子(へいじ)もて机たゝける我が友を
「鬼」と罵り耳うつ女
酒のめば龜の子のごと頸ふりて
わからぬことを唄ふたのしさ
醉ひしれて何をか言ひし友等みな
去りぬこのとき我れ流涕す
その女何とか言ひてわが肩を
ふたつ叩きしことがうれしき
襟しろき女に見とれ四ツ辻の
電信柱に突きあたりけり
腦病と自ら言ひて學校を
怠ける男歌をよく詠む
學問のきらひの男今日もきて
戀の話をして歸りけり