篠原鳳作初期作品(昭和五(一九三〇)年~昭和六(一九三一)年) Ⅷ
蟻の道たたみのへりをへりをくる
[やぶちゃん注:下五の「へりを」は中七の「へりを」(縁を)の文字通り、畳みかけである。]
秋燕に倒れし家のつづきけり
[やぶちゃん注:個人的に好きな句である。]
蘇鐡林汐枯れしたる颱風かな
島萩の花もつけしきなかりけり
雲の峰生ひならびぬ地平線
[やぶちゃん注:老婆心乍ら、「生ひならびぬ」は「うまひならびぬ」と読む。「生まふ」は動詞「うむ」の未然形に反復・継続の上代の助動詞「ふ」が附いたもので、産みふやす・どんどん産むの意の古語である。]
榕樹の根を吹きあらぶ野分かな
[やぶちゃん注:「榕樹」は「がじゆまる(がじゅまる)」と訓じていよう。]
蟻の道くる出だしくる迅さ哉

