巴 山之口貘
巴
おまえのお供はつらいと言うと
んじゃこうやってまっててよと来て
ミミコは鼻をつまんでみせるのだ
そこでぼくは鼻をつまんで
おおくちゃいと言ったところ
うそだいミミコなんか
くちゃいんじゃないやと言うのだ
ミミコのうんこでもごめんだと言うと
かあさんなんかいつだって
おおいいにおいって
いうんだもんと来たのだ
いうんだものと来たのだが
失礼なことを言うかあさんだ
いつでも鼻をつまんでしまうくせに
そしてそのまたはなごえで
おおいいにおいって言うからだ
[やぶちゃん注:【2014年7月21日追記:思潮社二〇一三年九月刊「新編 山之口貘全集 第1巻 詩篇」と対比検証済。】初出は昭和二四(一九四九)年六月号『婦人』(世界評論社発行)。]
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