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2014/04/16

不忍池   山之口貘

 不忍池

 

池をたずねて来たのだが

芝生のうえにぼくは見たのだ

このまっぴるまかれらはそこにいて

まるでもう舶来みたいに

これ見よがしの接吻をした

ひとりは角帽

ひとりは緑の服なのだ

池はすでに戦争のおかげで

代用の田圃になりかわっていたのだが

接吻の影など映すてだてもなく

田圃のまんまひからびているのだ

そこを出ると

出たところには

わずかばかりの水がにじんでいて

そこより外には行きどころもないのか

腹をひっくりかえして

ボートの群が飢えているのだ

 

[やぶちゃん注:【2014年7月18日追記:思潮社二〇一三年九月刊「新編 山之口貘全集 第1巻 詩篇」と対比検証した際、ミス・タイプを発見、本文を訂正、さらに注の初出を誤記載していたため、そこも訂正した。】初出は昭和二五(一九五〇)年二月号『群像』。コーダの光景が素晴らしい。]

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