萩原朔太郎「ソライロノハナ」より「何處へ行く」(1) どこへゆくこの旅びとのせはしなき/あとに光れる靑き貝がら
[やぶちゃん注:引き続き、「ソライロノハナ」(昭和五二(一九七七)年に萩原家が発見入手したもので、それまで知られていなかった自筆本自選歌集。死後四十年、製作時に遡れば実に六十余年を経ての驚天動地の新発見であった。「自敍傳」のクレジットは『一九一三、四』で一九一三年は大正二年で同年四月時点で朔太郎は満二十七歳であった)の歌群「何處へ行く」の章から順次短歌を掲載する。まず、標題の裏頁に配された一首。]
どこへゆくこの旅びとのせはしなき
あとに光れる靑き貝がら