橋本多佳子句集「紅絲」 沼 Ⅳ 枯山と狐
ラヂオ大きく枯山のふもとに住む
裏山に狐が出て、我鶏舎を襲ふことあり
枯れはてゝ遊ぶ狐をかくすなき
枯れし木が一本立てり狐失せ
[やぶちゃん注:三句とも昭和一九(一九四四)年五月に大阪帝塚山から疎開のために移り住んだ奈良市あやめ池町四丁目(現在は南九丁目)の家の裏山。底本の昭和十九年の年譜記載によれば、『裏の松山に登ると、薬師寺の塔が見える』とあり、これは地図上で見る限り、現在の奈良国際ゴルフ倶楽部のある場所にあったものと推測される。]
« 橋本多佳子句集「紅絲」 沼 Ⅲ 童女童子 | トップページ | 杉田久女句集 228 大正十四年 松山にて 五句 »