橋本多佳子句集「紅絲」 凍蝶抄 Ⅵ / 凍蝶抄 了
冬雲雀そのさへづりのみぢかさよ
拠るものゝ欲しけれど壁凍るなり
あふれいづる涙冬蝶ふためき飛び
掌(て)に裹む光悦茶碗凩堪へ
蕗の薹寒ンのむらさき切りきざむ
寒念仏ひゞくやひゞきくるもの佳(よ)し
木樵ゐて冬山谺さけびどほし
冬の森若人にすぐ谺して
空林や流れのあれば紅葉しづめ
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