杉田久女句集 223 柿の花 目白實家 五句
柿の花 目白實家 五句
灯れば蚊のくる花柿の葉かげより
雨に來ぬ人誰々ぞ柿の花
[やぶちゃん注:「來ぬ」ここは無論、久女なればこそ、雨の中、退院した彼女を、わざわざ「きぬ人」、訪ね来てくれた人を、ではなく、「こぬ人」、来てくれないつれない人を、執拗(しゅうね)く数え上げているのである。]
花柿に簾高く捲いて部屋くらし
障子しめて雨音しげし柿の花
苑の柿まだ澁切れぬ會式かな
« 篠原鳳作初期作品(昭和五(一九三〇)年~昭和六(一九三一)年) ⅩⅨ | トップページ | 橋本多佳子句集「紅絲」 凍蝶抄 Ⅴ »