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2014/05/29

飯田蛇笏 靈芝 昭和十年(九十九句) Ⅵ

 

汗疹して娘は靑草のにほひかな

 

妹に買ふうるしぐろなる日傘

 

蚊遣火や遊里の海は眞の闇

 

[やぶちゃん注:「眞ンの闇」は「しんのやみ」と読んでいるようである。]

 

  興津農林省園藝試作場

 

白靴に場(には)の睡蓮夕燒けぬ

 

[やぶちゃん注:「興津農林省園藝試作場」は明治三五(一九〇二)年に静岡県庵原郡興津町(現在の静岡市清水区)に創られた農商務省農事試験場園芸部が大正一〇(一九二一)年に農林省園芸試験場として独立したもので、現在の茨城県つくば市藤本にある独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構の一つである果樹研究所の前身。ナシの豊水・幸水、リンゴのふじなどを育成、また、アメリカ合衆国首都ワシントンD.C.のポトマック河畔にある桜並木の桜は明治の末に当時の東京市長尾崎行雄が送ったものであるが、その桜の苗木の育成を担当したのは当時の農商務省農事試験場園芸部(現在独立分離したカンキツ研究興津拠点)でこのワシントンの桜と兄弟の桜が興津拠点に現在も植栽されており、薄寒桜と呼ばれて親しまれている、と参照したウィキ果樹研究所にある。]

 

禽むるる大椿樹下に黐搗けり

 

[やぶちゃん注:「大椿樹下」は「だいちんじゆか(だいちんじゅか)」と音読みしているものと思われ、「大椿」大きな椿の謂いであろうが、実は「椿」を「チン」という音は本邦で作られた慣用音で、正しくは「チュン」である。しかも「椿」を「つばき」とするのは国字であって、漢語としての「椿」はツツジ目ツバTheaceae 科テアエアエ Theeae 連ツバキ属 Camellia の常緑高木のツバキ類ではなく、形態も全く異なる落葉高木ムクロジ目センダン科 Toona 属チャンチン(香椿)Toona sinensis であり、しかも「大椿」(慣用音で「ダイチン」)と書くと、現実に存在する木ではなく、「荘子(そうじ)」の「逍遙遊」に出る、一(ひと)春を八千年とする太古のの地上にあったという霊木を指す(そこから「椿壽」で長寿の喩えともする)。また、珍しい出来事を「椿事」と書いて「チンジ」と読むのは似て非なる「樁」(音「トウ」)の「樁事」(漢語で単に「事」の意で「樁」は接頭辞)を「椿事」としてしまい、しかもその慣用音から「珍事」と誤用したという救い難い誤りなのである。因みに、ツバキの科名の“Theaceae”(テアケアエ)というは、以前、この科に含められていた茶、即ちチャ属 Thea に由来するもので、チャ(茶)属Theaは一九七〇年代にツバキ属に統合されて廃止消滅したが、科名としては何故か残った。廃止になった属名がラテン語の科名に使われているというケースはこのツバキ科だけだそうである(最後の部分はウィキツバキ科を一部参考にした)。]

 

僧の綺羅みづみづしくも盆會かな

 

[やぶちゃん注:「みづみづしくも」の「みづみづ」の後半は底本では踊り字「〱」。]

 

杣の子に遲れ躑躅と夏ひばり

 

ほたる火を曳きつぶしたる艫繩かな

 

ねみだれて闇むしあつしほたる籠

 

溪下る大揚羽蝶どこまでも

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