杉田久女句集 227 大正十四年姉死去 二句
大正十四年姉死去 二句
霧しめり重たき蚊帳をたたみけり
夏帶やはるばる葬に間に合はず
[やぶちゃん注:前書の「大正十四年」は誤記と思われる(底本にも右にママ注記が附されてある)。年譜によれば姉越村靜は大正一五(一九二六)年七月に逝去している。富士見書房平成一五(二〇〇三)年刊の坂本宮尾「杉田久女」によれば、『小倉から駆けつけたが葬儀に間に合わなかった』とあり、『三歳違いの姉は享年三十八』で、『草稿に久女は東京で最後に姉と会った日のことを、「いつになく新橋まで見送つてくれ優しく涙ぐんでゐた姉靜子」としのんでいる』と記す(引用元では「静子」であるが正字化した)。なお、久女には兄二人姉二人の五人兄姉の三女であったが、姉の一人は夭折している。]