橋本多佳子句集「信濃」 昭和二十一年 Ⅷ
子が吹く蘆の笛の音面白ければ吾も吹きみる
蘆の笛吹きあひて音を異にする
[やぶちゃん注:前書及び句の「蘆」は底本では「芦」。]
子がねむり重さ花火の夜がつづく
蟬に子に夕べながさよ子をよびに
濃き墨のかはきやすさよ靑嵐
梶の葉の文字瑞々と書かれけり
七夕や髮ぬれしままに人に逢ふ
[やぶちゃん注:私の偏愛する句。]
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