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2014/05/27

今日のシンクロニティ「奥の細道」の旅9 黑羽光明寺行者堂 夏山に足駄を拜む首途哉   芭蕉

本日二〇一四年五月二十七日(陰暦では二〇一四年四月二十九日)

   元禄二年四月  九日

はグレゴリオ暦では

  一六八九年五月二十七日

である。

 

夏山に足駄(あしだ)を拜む首途(かどで)哉

 

  黑羽光明寺行者堂

夏山や首途を拜む高あしだ

 

[やぶちゃん注:第一句目は「奥の細道」。「曾良随行日記」に、

 

一 六日ヨリ九日迄、雨不止(やまず)。九日、光明寺ヘ被招(まねかる)。晝ヨリ夜五ツ過迄ニシテ歸ル。

 

とあるから、四月九日の吟である(「夜五ツ過」午後八時過ぎ)。第二句目は「曾良書留」。

「光明寺」余瀬の天台宗修験寺光明寺。文治二(一一八六)年に那須与一が阿弥陀仏を勧請して建立、その後は廃れて永正年間(一五〇四年~一五二一年)に津田源弘によって修験堂として再興されたが、明治の廃仏毀釈によって廃絶、現存しない。芭蕉が訪れた当時の修験堂先達は第七代権大僧都津田源光(つだもとみつ)法印の妻は浄法寺図書桃雪高勝の妹であった。余瀬の翠桃宅に近かった。

「行者堂」修験道開祖役行者を祀る。一本歯の高下駄が安置されてあった。

 本句と別にもう一句、曾良の「俳諧書留」には、

 

   同

汗の香に衣ふるハん行者堂

 

とが載るが、これ、「雪まろげ」には、

 

光明寺行者堂 汗の香に衣ふるハな行者堂 曾良

 

とあるので採らない。句柄としても「夏山や」の並べるに格が堕ち過ぎる気がする。但し、芭蕉はしばしば捨てた句を曾良に与えた形跡があるように私には思われ、これがそうでないとは言い切れぬとは思うが、曾良作の誤伝とするのが現在の主流のようではある。

 「奥の細道」では前に述べた通り、記載の時系列操作が行われている。煩を厭わず、既に掲げた「黒羽」の段を再掲しておく。

   *

黑羽の舘代浄坊寺何某の方ニ音信ル

おもひかけぬあるしのよろこひ日夜語

つゝけて其弟桃翠なと云か朝夕勤

とふらひ自の家にも伴ひて親属の

方にもまねかれ日をふるまゝに

ひとひ郊外に逍遙して犬追ものゝ跡

を一見し那すの篠原をわけて玉藻の

前の古墳をとふそれより八幡宮に詣

与市宗高扇の的を射し時別ては我

国氏神正八まんとちかひしも此神社

にて侍ときけは感應殊しきりに覚らる

暮れは桃翠宅に歸る

修驗光明寺と云有そこにまねかれて

行者堂を拜す

  夏山に足駄をおかむ首途哉

   *

■異同

(異同は〇が本文、●が現在人口に膾炙する一般的な本文)

〇与市宗高扇の的を射し時  → ●與市扇の的を射し時]

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