橋本多佳子句集「信濃」 昭和二十一年 Ⅵ
紫蘇しぼりしぼりて母の戀しかり
[やぶちゃん注:先に記したように多佳子の母津留は、この四年前の昭和一七(一九四二)年(多佳子四十三歳)十一月七日、多佳子の看取りを受けて東京で享年八十二歳で逝去している。この句は個人的に涙を禁じ得ない。]
もの書けるひと日は指を紫蘇にそめ
螢火のこぼれて小石照らさるる
珈琲濃しあさあがほの紺けふ多く
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