フォト

カテゴリー

The Picture of Dorian Gray

  • Sans Souci
    畢竟惨めなる自身の肖像

Alice's Adventures in Wonderland

  • ふぅむ♡
    僕の三女アリスのアルバム

忘れ得ぬ人々:写真版

  • 縄文の母子像 後影
    ブログ・カテゴリの「忘れ得ぬ人々」の写真版

Exlibris Puer Eternus

  • 吾輩ハ僕ノ頗ル氣ニ入ツタ教ヘ子ノ猫デアル
    僕が立ち止まって振り向いた君のArt

SCULPTING IN TIME

  • 熊野波速玉大社牛王符
    写真帖とコレクションから

Pierre Bonnard Histoires Naturelles

  • 樹々の一家   Une famille d'arbres
    Jules Renard “Histoires Naturelles”の Pierre Bonnard に拠る全挿絵 岸田国士訳本文は以下 http://yab.o.oo7.jp/haku.html

僕の視線の中のCaspar David Friedrich

  • 海辺の月の出(部分)
    1996年ドイツにて撮影

シリエトク日記写真版

  • 地の涯の岬
    2010年8月1日~5日の知床旅情(2010年8月8日~16日のブログ「シリエトク日記」他全18篇を参照されたい)

氷國絶佳瀧篇

  • Gullfoss
    2008年8月9日~18日のアイスランド瀧紀行(2008年8月19日~21日のブログ「氷國絶佳」全11篇を参照されたい)

Air de Tasmania

  • タスマニアの幸せなコバヤシチヨジ
    2007年12月23~30日 タスマニアにて (2008年1月1日及び2日のブログ「タスマニア紀行」全8篇を参照されたい)

僕の見た三丁目の夕日

  • blog-2007-7-29
    遠き日の僕の絵日記から
無料ブログはココログ

サイト増設コンテンツ及びブログ掲載の特異点テクスト等一覧(2008年1月以降)

« 大和本草卷之十四 水蟲 介類 淺利貝 | トップページ | 生物學講話 丘淺次郎 第十章 雌雄の別 一 別なきもの (1) »

2014/05/11

生物學講話 丘淺次郎 第十章 雌雄の別 序

   第十一章 雌雄の別

 

 雌は卵を産む個體、雄とは精蟲を生ずる個體のことであるが、この兩者の相違の程度は動物の種類によつて著しく違ひ、一見して直に區別の出來る程の差別のあるものもあれば、また注意して調べても雌か雄か解かわからぬやうなものもある。動物園に入つて見ても、「くじやく」や鹿は遠方から雄か雌かわかるが、猿や犬は近づいて見なければ確にわからず、「さぎ」や鶴などは側まで來てもなかなか區別が出來ぬ。さらに他の動物を調べると、「なまこ」などの如くに外面からは素より、内部を解剖して見ても雌か雄かが容易にわからぬやうなものもあれば、またその反對に雌と雄とが餘り違ひ過ぎるので、誰も同一種類に屬するものと心附かぬ程のものもある。かくさまざまに違つた種類をなるべく數多く集め、雌雄の差の全くないものからその最も著しいものまで順を追うて竝べて見ると、動物の雌雄の別は、如何なる道筋を經て次第に進み來つたものであるか、大體の有樣を推知することが出來る。

 

 雌雄の身體構造の相異なる個所を調べると、そのなかには卵と精蟲とを相合せしめることに直接に役に立つ部分と、間接にその目的を達せしめるためのものとがある。雄に精っ蟲を送り出す器官があり雌にこれを受け入れる裝置がある如きは、直接に役に立つ方であるが、この種の器官の發達は、卵と精蟲とが如何なる方法で相合するかによって大に違ふ。また特に鋭敏な感覺器を以て異性の所在を知り、美しい色や好い聲を以て異性を引き寄せる仕掛けは、同じ目的のための間接の方便であるが、これは神經系の發達に伴ふことで、最下等の動物では餘り見られぬ。その他、子を保護し育てる動物では雌と雄との役目が違ひ、隨て身體にもこれに準じた相違がある。獸類の牝のみに乳房が大きく、「たつのおとしご」の雄のみに腹に袋がある如きはその例であるが、これは受精の結果を完全ならしめるための補助器官で、子を産み放しにする動物には決してない。

« 大和本草卷之十四 水蟲 介類 淺利貝 | トップページ | 生物學講話 丘淺次郎 第十章 雌雄の別 一 別なきもの (1) »