杉田久女句集 208 夫出立
夫出立
言葉少く別れし夫婦秋の宵
栗むくや夜行にて發つ夫淋し
父立ちて子の起伏(おきふし)や柿の家
[やぶちゃん注:宇内が見舞いに訪れたその帰還の景と思われる。既に述べた通り、この東京での療養を機に離婚問題が起こっている。年譜の同年の項には『小倉での生活が痛ましすぎると実家では考えた』とある。当時久女三十歳。しかし「栗むくや」を中心にこの三句にはそうした陰影を感じさせながらも、どこか宇内への愛憐の情も強く感じられるように私には思われる。]
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夫出立
言葉少く別れし夫婦秋の宵
栗むくや夜行にて發つ夫淋し
父立ちて子の起伏(おきふし)や柿の家
[やぶちゃん注:宇内が見舞いに訪れたその帰還の景と思われる。既に述べた通り、この東京での療養を機に離婚問題が起こっている。年譜の同年の項には『小倉での生活が痛ましすぎると実家では考えた』とある。当時久女三十歳。しかし「栗むくや」を中心にこの三句にはそうした陰影を感じさせながらも、どこか宇内への愛憐の情も強く感じられるように私には思われる。]