橋本多佳子句集「紅絲」 凧
凧
歌かるたよみつぎてゆく読み減らしゆく
敵のかるた一つの歌がわが眼牽(ひ)く
羽子の音(ね)つよし丈のさわげる風の中
安定なき凧にてのぼる意の旺ん
鳴らず鳴らさず箏の冷えゆくとゞまりなし
いまありし日を風花の中に探す
五位鷺(ごい)飛びて寒の茜をそれてをり
水車の音絶えてはならず霧濃き中
聖夜讃歌吾が息をもて吾瀆る
燭の火と炉火が燻る聖歌隊黙し
層見せて聖夜の菓子を切り頒(わか)つ
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凧
歌かるたよみつぎてゆく読み減らしゆく
敵のかるた一つの歌がわが眼牽(ひ)く
羽子の音(ね)つよし丈のさわげる風の中
安定なき凧にてのぼる意の旺ん
鳴らず鳴らさず箏の冷えゆくとゞまりなし
いまありし日を風花の中に探す
五位鷺(ごい)飛びて寒の茜をそれてをり
水車の音絶えてはならず霧濃き中
聖夜讃歌吾が息をもて吾瀆る
燭の火と炉火が燻る聖歌隊黙し
層見せて聖夜の菓子を切り頒(わか)つ