神 山之口貘
神
心そのものは
神だ
私に信ぜられる
神は私のすべてを 支配する
心だ
善てふものは 常に
これに從ふ
私は私の心を信ずる
そこには
あらゆるものの
分別は正しい
私も人間だ!
からだの奥底に祕む
神を抱いてゐる
私は 私自身を愛し
澤山の人間との
愛を結ぶ こゝに
神の仕業から生れる
光がある
[やぶちゃん注:底本では末尾に下インデントで『一九二一・十二・十一』とある。大正一一(一九二二)年一月一日附『八重山新報』に「サムロ」のペン・ネームで掲載された。バクさん、満十八歳の時の詩である。]
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