飯田蛇笏 靈芝 昭和十一年(百七十八句) Ⅸ
巨陽いづ茶園の霧を吸ひにけり
峯の木や舌甜めあふて鵯の二羽
椋落葉黄菊すがれとなりにけり
[やぶちゃん注:「椋」マンサク亜綱イラクサ目ニレ科エノキ亜科ムクノキ Aphananthe aspera 。]
地靄たつ靑なんばんの名殘り花
[やぶちゃん注:「靑なんばん」青唐辛子。通常はナス目ナス科トウガラシ属
Capsicum の栽培種の未熟な緑色のものを言う語である。ここはその青い実の成る中に遅咲きの花が咲いている光景か。]
辣韮の花咲く土や農奴葬
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