晝はからつぽである 山之口貘
晝はからつぽである
私は干潟に死んだ黄ろい貝殼箱である
枯れた五つの官能を日向に投げだして
停電する六感は 無を示して
しろい半日の
空間は大きな空つぽの紙箱である。
[やぶちゃん注:初出は大正一四(一九二五)年八月発行の『抒情詩』。ペン・ネームは「山之口貘」。前の「夜は妊娠である」と本詩と以下に掲げる「莨 ―ニヒリストへの贈物―」「日向のスケツチ」の四篇が掲載された。本詩の創作年代及び諸事情は「夜は妊娠である」の私の注を参照されたい。]
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晝はからつぽである
私は干潟に死んだ黄ろい貝殼箱である
枯れた五つの官能を日向に投げだして
停電する六感は 無を示して
しろい半日の
空間は大きな空つぽの紙箱である。
[やぶちゃん注:初出は大正一四(一九二五)年八月発行の『抒情詩』。ペン・ネームは「山之口貘」。前の「夜は妊娠である」と本詩と以下に掲げる「莨 ―ニヒリストへの贈物―」「日向のスケツチ」の四篇が掲載された。本詩の創作年代及び諸事情は「夜は妊娠である」の私の注を参照されたい。]