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2014/06/30

莨 ―ニヒリストへの贈物―   山之口貘

 莨 ―ニヒリストへの贈物―

 

諦らむるものの吐息はけぶるのである

深い深い地の底に吸はれてけぶるのである

 

うちつづくこの怪しげな平面に直角で

高い高い 昇天の涯で

ああ 疲れた生命のまうへ

死んだ月の輪にけぶるのである

 

 

うちふるふ希望の觸手の末梢はしびれ

得體の知れない運命にすつかり瘦せてしまうて

とほくとほく眞空をめざしてけぶるもの

それは火葬場を訪ねる賓客(まらうど)の莨です。

 

[やぶちゃん注:初出は大正一四(一九二五)年八月発行の『抒情詩』。ペン・ネームは「山之口貘」。前の「夜は妊娠である」と「晝はからつぽである」と本詩と以下に掲げる「日向のスケツチ」の四篇が掲載された。本詩の創作年代及び諸事情は夜は妊娠である」の私の注を参照されたい。]

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