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2014/06/22

石垣用吉氏に捧ぐ   山之口貘

 石垣用吉氏に捧ぐ

 

顏は知つてゐないが

おれは何となく、あの

純な心

理屈の無い心が可愛

そして

この理智だらけのおれは

廉恥を缺ゝずには居られない

 

戸外に見える

靜かな

どんより曇つた空に

きみの心はどんより曇る

そらが晴れると

きみの心もまた晴れる

これが純な心でなくて何だ

其處には何の理屈もない

純心其のものは、既に

きみの詩をなしてゐるのだ。

 

[やぶちゃん注:「缺ゝ」はママ。但し、底本は「欠ゝ」。底本では最終行に下インデントで『一月五日』とある。大正一一(一九二二)年一月二十一日附『八重山新報』に先の「我がひとみ」と「苦痛の樂天地」とともに三篇掲載された。

 「石垣用吉」不詳。冒頭の「顏は知つてゐない」というのが最大のネックで、実際にバクさんはこの詩人(沖縄文学全集編集委員会編1991年海風社刊「沖縄文学全集 第1巻 詩Ⅰ」に彼の名を見出せる)に実際に逢ったことはないのかも知れないが、その作品は見知っている。しかもそのミューズの霊感に対して共感するバクさんの心情は多分に、「可愛」という第一印象、しかもそれをわざわざ「この理智だらけのおれは/廉恥を缺ゝずには居られない」とストイックに弁解せざるを得ないところに逆のこの時期(バクさん満十八歳)の青年にありがちな同性愛的な傾斜感情が濃厚に匂う。石垣用吉氏とは何者か、そこから謎解きは始まらなければならない。]

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