橋本多佳子句集「紅絲」 蘇枋の紅 Ⅴ
しやぼん玉窓なき廈(いへ)の壁のぼる
コンクリートに童子のしやぼん玉はずむ
旅の椅子仔雀はいま地(つち)にゐて
清、一周忌近し、面影を忍びて 三句
死が近し翼を以て蝶降り来(く)
太虚より蝶落ちにおつ身をもだえ
手にとりて死蝶は軽くなりにけり
[やぶちゃん注:先に出た不詳の「伊地知清」氏であろう。]
旅了らむ燈下に黒き金魚浮き
夜具の下畳つめたき四月尽
枕せば蚊ごゑ横引くひとの家
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