靜かな夜 山之口貘
靜かな夜
靜寂の夜だ………
何にも無い
總てが美しく
默り込んでゐる
シンとした夜に沈んでゐる
私のみだれた心も
やはりその中に默つてゐる
[やぶちゃん注:底本では末尾に下インデントで『一九二一・十二・二九』とある。大正一一(一九二二)年二月二十一日附『八重山新報』に「三路」のペン・ネームで、前の「道路の運命」の次の「書室にて」とともに三篇掲載された。]
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