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2014/06/03

歎き――宮古鳥の詩を讀んで   山之口貘

 歎き――宮古鳥の詩を讀んで

 

いやな生命――

痛切の賜は

情無の恨――

懷しき他所の詩よ

惱みつゝ小さき詩人は枯れて行

「風薰る初夏に性は蘇らん」と

小さき身よ………おゝ

痛くも歎きの只中を孤獨に

風薰る初夏よ

風薰る初夏よ

性の消失――

性の墓地――

默せる柔順よ

永遠に初夏に埋れて

淸花香の芳しきにほひに

陰鬱な墓地のわきに幾度か煙る

おゝ若き詩情の生存は悲しく

日沒の如く

哀へつゝもこの生命

 

[やぶちゃん注:大正一〇(一九二一)年十月十一日附『八重山新報』に「佐武路」のペン・ネームで掲載された。底本新全集本文は最後の行の、

 

哀へつゝもこの生命

 

の「哀」を「衰」の誤植とみなして、

 

衰へつゝもこの生命

 

とする。「枯れて行」はママ。

「宮古鳥の詩」不詳。底本解題にも記さない。「宮古鳥」が人名(詩人のペン・ネーム)や一篇の具体的な詩の題名としての固有名詞なのか、それとも「宮古鳥」という鳥の呼称(具体的な鳥類の通称)なのか全く不明。かく漢字で書く「みやこどり」という鳥はいない。ネットにはこの文字列自体が出現しない。なお、初見の際には私は「宮古島の詩」と誤読して読んでいた。詩の内容からは詩人のペン・ネームの可能性が強いようには思われる。識者の御教授を乞うものである。

「淸花香」ネット検索をかけると台湾産の高級烏龍茶にこの名称があるが、これか?]

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