我がひとみ 山之口貘
我がひとみ
疑惑は去りつゝ
不幸の渦き寄るを見つゝ
我が意志よ
我が瞳よ
大いなる恐怖を抱けども
涙に浸らず
など涙――
かくも愕然たらしむ?
[やぶちゃん注:底本では最終行に下インデントで『一二月三十日』とある。大正一一(一九二二)年一月二十一日附『八重山新報』に後の「苦痛の樂天地」「石垣用吉氏に捧ぐ」とともに三篇掲載された。]
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