学年末の反省 山之口貘
学年末の反省
教科書を広げるたびに
インクのよごれが気になった
僕には今でも
悪いくせがあって
夢中になるのはよいとしても
本を読めば読みっぱなしで
机の上に散らかしたまゝ
その上でなにかをしてしまうくせなのだ
あのときだって夢中になって
万年筆をいじくつているうちに
インクの瓶をひっくり返したのだ
いまは学年末でもうすぐに進級なのだ
よごれた本よごくろうさま
悪いくせよさようなら
[やぶちゃん注:初出は昭和三〇(一九五五)年三月号『中学生の友』。因みにこの時、バクさんは五十一歳(参考までにミミコ(泉さん)は小学校五年生)。無論、これは仮想詩なのであるが、この癖、ゼッタイ、バクさんの癖、なんだろうなあ。]

