飯田蛇笏 靈芝 昭和十一年(百七十八句) Ⅺ
花温室に漁具ものめきて寒の内
白樺に霜晴れの空膚を觸る
寒潮の濤の水玉まろびけり
苦吟又苦吟
冬風にとびちる詩稿惜しからぬ
雪山を匐ひまはりゐる谺かな
[やぶちゃん注:飯田蛇笏畢生の名吟である。私は個人的に蛇笏と言えば、「芋の露連山影を正うす」とこの句を即座に思い出す。北国と山を知る人間だけに――この句の真意が――分かる。]
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花温室に漁具ものめきて寒の内
白樺に霜晴れの空膚を觸る
寒潮の濤の水玉まろびけり
苦吟又苦吟
冬風にとびちる詩稿惜しからぬ
雪山を匐ひまはりゐる谺かな
[やぶちゃん注:飯田蛇笏畢生の名吟である。私は個人的に蛇笏と言えば、「芋の露連山影を正うす」とこの句を即座に思い出す。北国と山を知る人間だけに――この句の真意が――分かる。]