でんしやごつこ 山之口貘
でんしやごつこ
ぼうやが おおきな
こゑを はりあげる
やまたかせんが
まいりまあす
やまてせんだよ
と おしえたら
みむきも しないで
こゑを はりあげる
やまたかせんの
はっしやですう
[やぶちゃん注:初「ごつこ」はママ。出未詳(発表されている可能性は有り)。昭和三二(一九五七)年頃の創作と推定される。根拠は底本の思潮社二〇一三年九月刊「新編 山之口貘全集 第1巻 詩篇」解題を参照されたい。
因みに亡き母によれば、私は二歳頃、裏山から見える東海道線の「こだま」を見ては「こまだ」「こまだ」と叫び、好きな「葡萄」は「どぶう」「どぶう」と読んでいたそうだ。]