彦根市立西中学校々歌 山之口貘
彦根市立西中学校々歌
むかしも文(ふみ)の 華(はな)さきし
城のふもとに つどいきて
学ぶわれらは 西中健児
「おのこの瞳(ひとみ) 陽(ひ)にもえて」
「み空の星か おとめの瞳」
われらがひこね 西中の
夢はうるはし もろともに。
伊吹の山 琵琶の水
四季のながめに めぐまれて
そだつわれらは 西中健児
「おのこの瞳 陽にもえて」
「み空の星か おとめの瞳」
われらがひこね 西中の
こころはつよし もろともに。
ひこねの要(かなめ) 金亀(きんき)の城に
われらは文化の 要ぞと
西中健児の 意気映(は)ゆる
「おのこの瞳 陽にもえて」
「み空の星か おとめの瞳」
われらがひこね 西中の
希望はたかし もろともに。
*昭和二十七年四月二十八日 日本独立の日に
彦根市立西中学校の前途に幸多からんことを祈りつゝ
[やぶちゃん注:昭和二七(一九五二)年十一月に滋賀県彦根市立西中学校校歌として正式に制定されたもの(作曲は静岡県浜松市出身の音楽家市川都志春氏)。「滋賀県彦根市立西中学校の校歌」で男女混声二部合唱(詩中の鍵括弧部分男声女声個別パート。但し、以下のリンク先を見て戴くと分かるように、「おのこの瞳/陽にもえて」は女声パート、「み空の星か/おとめの瞳」は男声パートなので注意されたい)の本歌を聴くことが出来る。男女混声二部合唱の校歌というのは恐らく極めて珍しいものと思われる(リンク先では『全国唯一の』とある。因みに私の母校である富山県高岡市立伏木中学校は「伏木中学校の歌」であって校歌ではない。これが校歌の代わりなのである。校歌のない学校というのもやはり珍しいと思う。以下の私のブログ『僕の中学校――「伏木中学校の歌」――』記事内の下の方の『この「歌」』の同中学公式サイトのリンク先で、伏木の出身で同中学校卒業生でもある作家堀田善衛氏の作詞になる詞本文と歌曲自体(作曲は団伊玖磨氏)を聴くことが出来る)。
「昭和二十七年四月二十八日 日本独立の日に」とは第二次世界大戦におけるアメリカ合衆国をはじめとする連合国諸国と日本国との間の戦争状態を終結させるため、両者の間で締結された平和条約「日本国との平和条約」(Treaty of Peace with Japan:昭和二七年条約第五号。別名「サンフランシスコ条約」「サンフランシスコ平和条約」「サンフランシスコ講和条約」)が発効した日である。参照したウィキ「日本国との平和条約」によれば、前年の昭和二六(一九五一)年九月八日にサンフランシスコに於いて『全権委員によって署名され、同日、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約も署名された』。『この条約によって正式に、連合国は日本国の主権を承認』、『国際法上はこの条約の発効により日本と、多くの連合国との間の「戦争状態」が終結した。条約に参加しなかった国との戦争状態は個別の合意によって終了している』とある。]