今日のシンクロニティ「奥の細道」の旅 45 月か花かとへど四睡の鼾哉
本日二〇一四年七月二十四日(陰暦では二〇一四年六月二十八日)
元禄二年六月 八日
はグレゴリオ暦では
一六八九年七月二十四日
である。以下の句、羽黒山滞在中の句ではあるが、この日に同定出来る資料はない。しかし三山礼拝を終えて困憊して休んだその翌日(会覚自らが芭蕉を別院に訪ねている)にこの禅味に満ちた句を配するのは強ち不自然とは思われないのである(この翌日には「曾良随行日記」によって歌仙「有難や」が満尾していることが分かる)。
月か花かとへど四睡(しすい)の鼾(いびき)哉
天宥法印の贊
月か花歟(か)問へば四睡の眠り哉
[やぶちゃん注:第一句目は真蹟画賛の、第二句目は「芭蕉翁句解参考」(何丸著・文政一〇(一八二七)年刊)の句形。第二句目の前書は「天宥」を「天看」と誤る。訂した。天宥筆の「四睡図」への画賛の句である。会覚に請われたものであろう。
「四睡図」とは中国天台山国清寺(こくせいじ)の僧であった豊干・寒山・拾得の三人が虎とともに睡る姿が描かれた禅画の画題。禅の悟りの境地を示すものとされる。参照したウィキの「四睡図」によれば、『構図としては豊干を画面中央に大きく描き、その左右にトラと寒山及び拾得とを小さく配し、不等辺三角形をなす。
画題にふさわしく静粛と安定のある図相である点で、諸作品はほぼ一致する』とある。グーグル画像検索「四睡図」。
「月か花か」と風狂人芭蕉が大上段に問うのが面白い。芭蕉は既にして自らは鈴(りん)を振られる身と、わざと俗物丸出しで問う。さすれば四睡は鈴の代わりにいや増しの高鼾で応えるのである。]
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