アカイ マルイ シルシ 山之口貘
アカイ マルイ シルシ
ミンナ
オコッテ
ヒヲ フイタ
「ドチラガ カツカ
キミ シッテルカ。」
「シッテルヨ
アカイ
マルイ シルシノ
アル ハウダ。」
[やぶちゃん注:初出は昭和一八(一九四三)年九月号『コドモノヒカリ (9月20日航空日特輯)』で、次の「オホゾラノ ハナ」とともにそれぞれ別な子供の絵とともに二篇掲載された。八歳の少年(底本とした思潮社二〇一三年九月刊「新編 山之口貘全集 第1巻 詩篇」の解題には姓名が掲載されているが、個人情報として問題があると思われるので載せない)絵(恐らくは日本の戦闘機と敵機の空中戦)が添えられてあるらしい。旧全集との異同はない。バクさんの、現在知られるカタカナ表記の最も古い児童詩の一つであると同時に既刊詩集未収録詩篇中、最後の戦中の発表作でもある。
九月二十日は現在も「空の日」である。明治四三(一九一〇)年に徳川好敏・日野熊蔵両陸軍大尉が代々木練兵場において日本初の動力飛行に成功したその三十周年及び紀元二千六百年を記念して昭和一五(一九四〇)年九月二十八日に制定された「航空日」にその起源を持つ。平成四(一九九二)年には「空の日」と改称され、また九月二十日から三十日が「空の旬間」とされて現在に至っている。九月二十日という日付に設定されたのには特別な意味はないが、三月十日の陸軍記念日や五月二十七日の海軍記念日が春に行われたために時期をずらして秋とし、その中から晴れの特異日を選んだものである、とウィキの「空の日」にはある。]