桜並木 山之口貘
桜並木
むかしからあまりに
有名な花だ
ぼくといえどもその花が
桜の花だとは知つているのだが
バラ科の木だとは
ついぞ知らなかつたのだ
いいかいよくおぼえておきな
かれはそう言いながら
桜並木の花を仰いだ
[やぶちゃん注:初出は昭和三二(一九五七)年四月号『中学生の友 3年』。
桜は被子植物門双子葉植物綱バラ亜綱バラ目バラ科サクラ亜科サクラ属サクラ亜属
subg. Cerasus のサクラ節
sect. Cargentiella・ミザクラ節 sect. Cerasus・ミヤマザクラ節 sect. Phyllomahaleb・ロボペタルム節 sect. Lobopetalum に属する落葉広葉樹の総称である。参照したウィキの「サクラ」によれば、『園芸品種が多く、花弁の数や色、花のつけかたなどを改良しようと』『多くの園芸品種が作られた。日本では固有種・交配種を含め600種以上の品種が確認されて』おり、『とくに江戸末期に出現したソメイヨシノ(染井吉野)』(subg. Cerasus 若しくはサクラ属 Cerasus 品種ソメイヨシノ
Cerasus × yedoensis (Matsum.)
A.V.Vassil. ‘Somei-yoshino’)『は、明治以降、日本全国各地に広まり、サクラの中で最も多く植えられた品種となった』。『サクラ属 Prunus は約400種からなるが、主に果実の特徴から5から7の亜属に分類される。サクラ亜属
subg. Cerasus はその1つである。これらの亜属を属とする説もあり、その場合、サクラ亜属はサクラ属
Cerasus となる』。『サクラ亜属は節に分かれ、それらは非公式な8群に分かれる』(但し、最後の部分には要出典要請がかけられてある)とある。因みに、よく授業で言ったが、世界中のソメイヨシノは総てがたった一本の木の同一体、クローンである。種子で増殖させても親の形質を必ずしも継承しないため、総ては挿し木か接ぎ木で増やすからである。造り出した人間の手が入らないと生存出来ない品種であるところも如何にもクローンらしいとは言えるのである。「クローンは桜に限る」――]
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