石神井東中学校々歌 山之口貘作詞(案) ★注意:不採用
石神井東中学校々歌 山之口貘作詞(案)
[やぶちゃん注:「山之口貘作詞(案)」は私が附した。この校歌は不採用となったものである。後注参照。]
むかしをしのぶ 武蔵野の
緑の原に そゝり立つ
甍(いらか)がもとに つどひ来て
われらは学ぶ 若人ぞ
秩父の山脈(なみ)に 胸を張り
はるかに富士を ながめつゝ
四季の色彩(いろどり) めぐまれて
そだつわれらは 若人ぞ
文化日本を 背負ひ立つ
われらの肩に 力あり
いざ若人よ もろともに
理想を高く 掲げなん。
[やぶちゃん注:所収する思潮社二〇一三年九月刊「新編 山之口貘全集 第1巻 詩篇」の松下博文氏の解題によれば、創作は昭和三三(一九五八)年頃。現在の練馬区立石神井東中学校の校歌は草野心平の作詞(渡辺浦人作曲。同校公式サイトで確認。新全集解題は「渡辺浦」とするが脱字か)で、昭和三三(一九五八)年三月一日に校歌として制定されているとある(採用された草野心平のそれは二番の頭で「秩父山脈(ちちぶやまなみ)」を詠んでいる以外は、詩句も構造(草野版は二番まで)も似ていない)。但し、草野心平はバクさんと同い年の詩友でもある。あくまで推測であるが、依頼されて作ったものの、何らかの注文がつけられて厭になり、草野心平に頼って、結局、譲ったものなのかも知れない。]