もうすぐ冬だ 山之口貘
もうすぐ冬だ
木ぎの葉っぱを
ふり落しながら
つめたい風が ふいて来る。
森や 林をふきぬけて
風は 急いで 冬を運んで来る。
ふるえて立っている
はだかの かきの木たち、
ふるえて立っている
はだかの くりの木たち。
ぼくは はなの頭を
まっかにしながら
風を切って 急いでいる。
はなを すすって
学校の門に とびこむと、
はだかの 大きな いちょうの木が
風にたえて 立っている。
[やぶちゃん注:初出は昭和三二(一九五七)年十二月号『小学三年生』。]
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もうすぐ冬だ
木ぎの葉っぱを
ふり落しながら
つめたい風が ふいて来る。
森や 林をふきぬけて
風は 急いで 冬を運んで来る。
ふるえて立っている
はだかの かきの木たち、
ふるえて立っている
はだかの くりの木たち。
ぼくは はなの頭を
まっかにしながら
風を切って 急いでいる。
はなを すすって
学校の門に とびこむと、
はだかの 大きな いちょうの木が
風にたえて 立っている。
[やぶちゃん注:初出は昭和三二(一九五七)年十二月号『小学三年生』。]