杉田久女句集 261 花衣 ⅩⅩⅨ 八幡製鐵所起業祭 三句
八幡製鐵所起業祭 三句
かき時雨れ鎔炉は聳(た)てり嶺近く
群衆も鎔炉の旗もかき時雨れ
おでん賣る夫人の天幕訪ひ寄れる
[やぶちゃん注:「炉」は勘案の末、ママとした。「八幡製鐵所起業祭」福岡県北九州市八幡東区で行われる祭り。毎年十一月三日付近の三日間で開催される。正式名称は「まつり起業祭八幡」。もとは官営八幡製鐵所(現在の新日鐵住金八幡製鐵所)の創業を記念した祭りで、明治三四(一九〇一)年十一月に「作業開始式」が行われたのを始まりとする。当初は八幡製鐵所主催の企業の祭りで、八幡製鐵所が操業を開始した十一月十八日から三日間に亙って行われていた。当時の十一月は寒く、たびたび霙や霰が降ったという(昭和六〇(一九八五)年より、「まつり起業祭八幡実行委員会」主催になる市民祭となり開催日時も現在の十一月三日前後に移動、現在では八幡の秋の風物詩として定着している。会場は八幡製鐵所の企業城下町として発展してきた八幡東区中央、八幡製鐵所の福利厚生施設が立ち並ぶ大谷、そして八幡製鐵所発祥の地である東田と広範囲に及び、製鐵所の一般公開も行われている。以上はウィキの「起業祭」に拠った)。]