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2014/07/29

飯田蛇笏 山響集 昭和十二(一九三七)年 夏

〈昭和十二年・夏〉

 

楡がくり初夏の厨房朝燒けす

 

アカシヤに衷甸(ばしや)驅る初夏の港路

 

はしり出て藻を刈る雨に鳴く鵜かな

 

虹に啼きき雲にうつろひ夏雲雀

 

槻の南風飛燕の十字かたむけり

 

[やぶちゃん注:「槻」欅(けやき)。上句は「つきのはえ」と訓じていよう。この句、個人的に好きである。]

 

朝日夙く麓家の桐花闌けぬ

 

[やぶちゃん注:「あさひとく/ふもとやのきり/はなたけぬ」と訓ずるか。]

 

はつ蟬に忌中の泉汲みにけり

 

褸(る)のごとく女人のこゑや蚊ふすべす

 

軍雞乳(つる)み蕗の絮とびて夕映えぬ

 

[やぶちゃん注:「軍雞」は「しやも(しゃも)」、「絮」は「じよ(じょ)」でフキの花の綿毛様の種子のこと。]

 

ほとびては山草を這ふ梅雨の雲

 

梅雨風に楡がくれゆく戎克かな

 

[やぶちゃん注:「戎克」じゃ「ジヤンク(ジャンク)」“junk”(元来はジャワ語で船の意)。中国の沿岸や河川などで用いられている伝統的な木造帆船の総称。多数の水密隔壁により船内が縦横に仕切られ、角形の船首と蛇腹式の帆を持つ。この光景は一体どこでの嘱目吟であろうか? それとも想像吟か?]

 

   反古燒却、ひそかに生靈もろもろの供養をとて 二句

 

茂山に反古の煙たつ供養かな

 

奥嶺より郭公啼きて反古供養

 

[やぶちゃん注:前書「もろもろ」の後半は底本では踊り字「〱」。]

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