りんね 山之口貘
りんね
朝になつたり
夜になつたりして
その日その日が廻つて
朝になつたり
夜になつたりして
その月その月が廻つて
朝になつたり
夜になつたりして
その年その年が廻つて
どの人もどの人も
起きては地球を廻して
地球を廻してはまた寝て
窓の上では
誰だか
タクトを振りつ放し
[やぶちゃん注:標題の平仮名書きと最終行の「振りつ放し」はママ。昭和三七(一九六二)年二月頃から翌昭和三八(一九六三)年二月頃の創作と推定される一篇(根拠は底本の思潮社二〇一三年九月刊「新編 山之口貘全集 第1巻 詩篇」の解題を参照されたい)。詩集「鮪に鰯」の編纂用詩篇原稿群の中に含まれていることから、『鮪に鰯』への収録を検討した一篇と推定される。実際には採られていない。]