「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」「見えない雲」
2年前に買って放置していたDVD「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」(Qは教え子に招待されて公開時に鑑賞済)と、原発事故を描いたドイツ映画「見えない雲」(2006年)を見た。
「エヴァ」の画像は驚くべきものである。大嫌いな宮崎駿が映画と同じ手法を安易にアニメションに適応して、非常に汚い画像となっている(例えば「もののけ姫」の冒頭近くの森の右から左へのパン・カットなど)のに対し、庵野の処理は特に光学的処理に於いて神憑っていて、アニメ―ションの疑似実写化ともいうべき、非常に美しいものである。但し、ストーリーはTV版の方が遙かに優れている(僕は劇場版三部作は未見)。
「見えない雲」は妻の「通販生活」の附録としてあったものが「エヴァ」の間に挟まっていたので見た。前半の主人公の女子高校生ハンナと同級生エルマーのラブ・ストーリーの部分はやや冗長であるが、原発事故発生以降の展開は、実にリアルである(F・Oによる場面転換が小刻み過ぎてやや五月蠅い)。先ほど見たウィキの「見えない雲」によれば、主人公ハンナ役の『女優パウラ・カレンベルクはチェルノブイリ原発事故の時に胎児であった。健康な外観で生まれたが、幼児期に検査をしたところ、心臓に穴が開いていること、片方の肺がないことが判明した。しかし彼女は体に障害があるとは思わせることはなく、疾走する場面も問題なくこなした』とあるのを見て、何か非常に厳粛な気持ちになった。
因みに、原作者である女流作家グードルン・パウゼヴァング(原作は1987年作)は福島第一原子力発電所の事故を受けて『ドイツの週刊誌『デア・シュピーゲル』に、日本人が『みえない雲』に描かれたような惨事から免れることを望むという趣旨の文章を寄せている。その文章においてパウゼヴァングは、生き残ったヤンナ-ベルタ[やぶちゃん注:原作の主人公の名。]がいずれ高度障害をもつ子供を産むであろう未来を示している。また、原子力エネルギーを推進することを原因とするかその結果起きることによって子供達が苦しむことを憂い、推進する人々がその結果起こりうる事に責任を負うべきことを理解しているかを問い、自身が生きている間は警告を続ける旨を語っている』ともある。
ウィキを読むと公開当時、原子力推進派からしつこい批判を受けたようだが、こういう映画をちゃんと創れる国だからこそ、ドイツはいち早く原発廃止の方針を打ち出せたのだと思う。放射性物質を未だにばらまいている日本は稼働を推進し、諸外国に原発を売って恥じない人非人であるのとは大違いだ。
もう一つ――放射線障害で髪を失ったハンナの姿は、ナチに絶滅収容所に送られたユダヤ人少女や、戦後のフランスでナチ協力者として丸坊主にさせられた少女の映像が僕にはダブって見えた……
「エヴァ」の画像は驚くべきものである。大嫌いな宮崎駿が映画と同じ手法を安易にアニメションに適応して、非常に汚い画像となっている(例えば「もののけ姫」の冒頭近くの森の右から左へのパン・カットなど)のに対し、庵野の処理は特に光学的処理に於いて神憑っていて、アニメ―ションの疑似実写化ともいうべき、非常に美しいものである。但し、ストーリーはTV版の方が遙かに優れている(僕は劇場版三部作は未見)。
「見えない雲」は妻の「通販生活」の附録としてあったものが「エヴァ」の間に挟まっていたので見た。前半の主人公の女子高校生ハンナと同級生エルマーのラブ・ストーリーの部分はやや冗長であるが、原発事故発生以降の展開は、実にリアルである(F・Oによる場面転換が小刻み過ぎてやや五月蠅い)。先ほど見たウィキの「見えない雲」によれば、主人公ハンナ役の『女優パウラ・カレンベルクはチェルノブイリ原発事故の時に胎児であった。健康な外観で生まれたが、幼児期に検査をしたところ、心臓に穴が開いていること、片方の肺がないことが判明した。しかし彼女は体に障害があるとは思わせることはなく、疾走する場面も問題なくこなした』とあるのを見て、何か非常に厳粛な気持ちになった。
因みに、原作者である女流作家グードルン・パウゼヴァング(原作は1987年作)は福島第一原子力発電所の事故を受けて『ドイツの週刊誌『デア・シュピーゲル』に、日本人が『みえない雲』に描かれたような惨事から免れることを望むという趣旨の文章を寄せている。その文章においてパウゼヴァングは、生き残ったヤンナ-ベルタ[やぶちゃん注:原作の主人公の名。]がいずれ高度障害をもつ子供を産むであろう未来を示している。また、原子力エネルギーを推進することを原因とするかその結果起きることによって子供達が苦しむことを憂い、推進する人々がその結果起こりうる事に責任を負うべきことを理解しているかを問い、自身が生きている間は警告を続ける旨を語っている』ともある。
ウィキを読むと公開当時、原子力推進派からしつこい批判を受けたようだが、こういう映画をちゃんと創れる国だからこそ、ドイツはいち早く原発廃止の方針を打ち出せたのだと思う。放射性物質を未だにばらまいている日本は稼働を推進し、諸外国に原発を売って恥じない人非人であるのとは大違いだ。
もう一つ――放射線障害で髪を失ったハンナの姿は、ナチに絶滅収容所に送られたユダヤ人少女や、戦後のフランスでナチ協力者として丸坊主にさせられた少女の映像が僕にはダブって見えた……