日本その日その日 E.S.モース(石川欣一訳) 第十五章 日本の一と冬 モースの明治の帝都東京考現学(Ⅳ)歳の市にて
今月(十二月)は、各所の寺院の近くで、市がひらかれる。売買される品は、新年用の藁製家庭装飾品、家の中で祭る祠、子供の玩具等である。大きな市はすでに終り、今や小さい市が、東京中いたる所で開かれる。このような屋外市につどい集る人の数には、驚いて了う。我々は屋敷から余り遠くないお寺で開かれた市に行って見た。路の両側には小舎がけが立ち並び、人々はギッシリつまり、中には買った物を僧侶に祝福して貰うべく、それがつぶされるのを防ぐ為に、頭上高くかかげてお寺へ向う者も多い。このような祭で売られる物が、すべて子供の玩具か、宗教的又は半宗教的の装飾物か、彼等の家庭内の祠に関係のある物かであるのは、興味が深かった。米国から来る新聞に、宣教師達が寄稿した、寺院は荒廃し、信仰は死滅しつつあるという手紙が出ているのを読み、そこで寺院に毎日群衆が参詣し、寺院は瓦を葺きかえられ、修繕され、繁栄のあらゆる証拠を示しているという実際の事実を目撃する時、私はこんな虚偽の報告に、呆れ返って了う。
[やぶちゃん注:キリスト嫌いのモース先生の皮肉、炸裂! いいね!]
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