今日のシンクロニティ「奥の細道」の旅 64 金沢 秋涼し手毎にむけや瓜茄子
本日二〇一四年九月 三日(陰暦では二〇一四年八月十日)
元禄二年七月二十日
はグレゴリオ暦では
一六八九年九月 三日
である。金沢滞在中のこの日の、犀川畔にあった齋藤一泉の松玄庵句会での半歌仙の発句。ありがちな挨拶吟である。
ある草庵にいざなはれて
秋涼し手毎(てごと)にむけや瓜茄子
松玄庵參會即興
殘暑しばし手毎にれうれ瓜茄子
訪草庵
秋さびし手毎にむけや瓜茄子
[やぶちゃん注:第一句目は「奥の細道」の、第二句目は次の句で詳述する小杉一笑の兄で俳号ノ松(べっしょう)が一笑追善に編んだ「西の雲」(元禄四年跋)の、第三句目は「韻塞」(いんふたぎ・許六ら編・元禄九年自序)の句形。
一泉の脇句は、
殘暑しばし手毎に料理れ瓜茄子 芭蕉
みじかさまたで秋の日の影 一泉
と付けている。「奥の細道」に載せたのは、次に掲げる芭蕉の絶唱「塚も動け我泣聲は秋の風」と先に掲げた「あかゝと日は難面もあきの風」の、慟哭/炎熱・寂寥を配した複式夢幻能の間狂言といった感じでここに配したもののように私には思われる。]