落葉 ヹルレエヌ 上田敏譯
落葉(らくえふ)
秋(あき)の(ひ)日の
ヸオロンの
ためいきの
身(み)しみて
ひたぶるに
うら悲(かな)し。
鐘(かね)のおとに
胸(むね)ふたぎ
色(いろ)かへて
涙(なみだ)ぐむ
過(す)ぎし日(ひ)の
おもひでや。
げにわれは
うらぶれて
こゝかしこ
さだめなく
とび散(ち)らふ
落葉(おちば)かな。
〔ヹルレエヌ――『詩集(ししふ)』〕
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佛蘭西の詩はユウゴオに繪畫の色を帶び、ル
コント・ドゥ・リイルに彫塑の形を具へ、ヹルレ
エヌに至りて音樂の聲を傳へ、而して又更に
陰影の匂なつかしきを捉へむとす。
「譯者」
[やぶちゃん注:「ヸオロン」の方の「ヹ」は底本では「井」に濁点、「身にしみて」の「し」は「志」の崩し字。]
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訳詩集「海潮音」上田敏訳 本郷書院 明三八(一九〇五)年十月刊より――
国立国会図書館蔵 同近代デジタルライブラリーより視認してタイプ――