夢魔としての文楽「近江源氏先陣館」
昨日見た「近江源氏先陣館」――
……これは少年と老婆の純愛譚である――
……フィリッパ・ピアスの「トムは真夜中の庭で」を思い出す――
……これは実母子が目の前でサディスティックに「蘆垣」に遮断されてある中の―……疑似母子によるインセスト・タブーである――
……コーダで腹を抉る少年小四郎はエディプス以外の何者でもない――
だからこそ永遠にここに父高綱は登場しない――
手繰った蔓の先に思いも寄らぬ異花の咲くのは関係妄想的トンデモナンデモの浄瑠璃の常套乍ら、この痙攣的深謀術数フェイクの堆積の果てに配される一箇の美少年の切腹は――余りに愴にして悲――魅にして惑である…………
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