杉田久女句集 278 花衣 ⅩLⅦ 母の句 五句
母の句 五句
八十の母てまめさよ雛つくり
母淋しつくりためたる押繪雛
娘をたよる八十路の母よ雛作り
扶助料のありて長壽や置炬燵
雛つくる老のかごとも慰めり
[やぶちゃん注:昭和一〇(一九三五)年の久女四十五歳の折りの句群。久女の母さよは三十六歳の時に久女を生んでいる(久女は明治二三(一八九〇)年五月三十日生まれ)かた、当時は満八十一。兵庫県出石(いずし)の出身で、坂本宮尾氏は「杉田久女」で、さよは『龍生派池之坊の稼働教授』で、『赤龍軒美玉と号し、最高職の関西家代理として八十八歳まで現役を務めた人だという。久女も華道、茶道、書道の心得があった』と記しておられる。母さよは戦局の悪化する昭和十九年七月に亡くなっている。因みに、この時の葬儀で上阪したのが、長女昌子が逢った最後となった旨の記載が年譜にある(久女の逝去は昭和二十一年一月二十一日)。]
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