橋本多佳子句集「海彦」 淡路島
淡路島
七曜同人朝倉十艸氏宅に滞在
みどりの島へ舷梯懸るわたりけり
[やぶちゃん注:「七曜」は昭和二五(一九五〇)年一月に『天狼』系の俳誌として多佳子が主宰していた(多佳子没年の昭和三八(一九六二)年に堀内薫が継承)。「朝倉十艸」不詳。]
あぢさゐのくれなゐ潮路来りけり
地にのこる鮮血鱝(えひ)を競りしあと
月光来る靴がばがばと搾乳夫
月光(て)る桶びしびし奔る牛乳享け
月光濃き搾乳の桶股ばさみ
天女丸
思ひ切り西日の舵輪まきかへす
[やぶちゃん注:「天女丸」摂陽商船株式会社が大正一五(一九二六)年に大阪と淡路島の洲本間に運行を開始した急行線で就航したディーゼル・エンジン搭載の新造船天女丸四九五トン。個人サイト「~ぶらり散歩~淡路島 歴史の小径」のこちらの記載によれば、運行当時は大阪―洲本間を二時間三十分で運行、『その姿と快速ぶりが人気をよんだ。さらに、昭和5年にはディーゼルの此花丸』『による兵庫洲本急行便を加え、天女丸とともに春から初秋の淡路島観光を盛り上げた』とある。リンク先には優雅な船体の写真もある。]
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