今日のシンクロニティ「奥の細道」の旅 68 ぬれて行くや人もおかしき雨の萩
本日二〇一四年九月 九日(陰暦では二〇一四年八月十六日)
元禄二年七月二十六日
はグレゴリオ暦では
一六八九年九月 九日
である。この日、小松滞在中の芭蕉は堤八郎右衛門歓水(「歓水」は連歌の雅号で、俳号は享子)の屋敷に招かれて連句五十韻を興行した。その発句。
廿六日 同歡水亭會 雨中也
ぬれて行(ゆく)や人もおかしき雨の萩
かゞ小松にて
ぬれて行く人もおかしや雨の萩
同國小松觀水亭雨中の會
ぬれて行く人もやさしや雨の萩
[やぶちゃん注:第一句目は「曾良俳諧書留」の、第二句は「泊船集」の、第三句は「菅菰抄附録」の句形。
脇句は亭主が、
ぬれて行や人もおかしき雨の萩 芭蕉
すゝき隱(がくれ)に薄葺(すすきふく)家 享子
と付けている。「人」は自身を含んだ連座の俳衆の客観表現。雨もまた奇なりと歓水の前庭を雨中に巡って濡れつつうち興ずる自身の姿を「おかしや」と詠んだのである。前日二十五日の鼓蟾と同じく連歌畑の相手であることを意識して脇が付けやすいようにした素直な挨拶句である。]
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