橋本多佳子句集「海彦」 青あらし
青あらし
苦楽園誓子居に於て天狼同人会 一句
老い髪の仲間隅まで青あらし
斑猫が紅青をもて惑はせり
[やぶちゃん注:「斑猫」は鞘翅(コウチュウ)目オサムシ亜目オサムシ上科ハンミョウ科ナミハンミョウ Cicindela japonica 、所謂、ミチオシエである。人が近づくと一、二メートル程飛んで直ぐ着地するという行動を繰り返し、その過程で度々、後ろを振り返るような動作をする本種の習性をうまく詠み込んでいる。なお、「斑猫」全般については、私の「耳嚢 巻之五 毒蝶の事」の注で詳細を述べておいた。是非、参照されたい。]
馴れざる水に金魚の尾鰭ひらく
[やぶちゃん注:この句、中七と下五のブレイクが私は好きだ。]
踊り唄遠しそこよりあゆみ来て
百足虫の頭(づ)くだきし鋏まだ手にす
[やぶちゃん注:多佳子の名句と私は信じて疑わぬ句である。美しい多佳子ならではの映像のマジックだ。多分、これを演じられる――拮抗出来る――のは他には私の偏愛するジャンヌ・モローぐらいしかいない。]
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