橋本多佳子句集「海彦」 母燕
母燕
母燕細し炎天へ翔けいづるとき
汗の荷を胸に背に分け歩き出す
柘榴の粒幾百食はゞ寂しさ消ゆ
手をおけば胸あたゝかし露微塵
をどりの衆眉目(まゆめ)わかたず影揃ふ
男をんな夜の砂擦つてをどりの足
夜の崖に水打つ胸をぬらす如
麻衾暁(あけ)ごうごうの雨被る
[やぶちゃん注:五月上旬であるが本句群の中の祭は不詳。識者の御教授を乞う。]
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